■ 八坂庚申堂(やさかこうしんどう) 備忘録
創建: 大宝元年(701年・伝承)
御本尊: 青面金剛(しょうめんこんごう)

見どころ:
-
日本最古の庚申堂: 大阪の四天王寺、東京の入谷庚申堂(現存せず)と並ぶ「日本三大庚申」の一つであり、本邦における庚申信仰の発祥の地として、千年以上もの間、人々の病気平癒や魔除けの願いを受け止めてきました。
-
欲望を戒める「くくり猿」: 境内に無数に吊るされた、カラフルな布製のお守り。手足を縛られて動けない猿の姿は「心の中の欲望を一つ我慢する」ことを表しており、欲をコントロールすることで願い事が叶うとされています。
-
知恵を授ける「三猿(見ざる・言わざる・聞かざる)」: 本堂の正面など、境内の随所に刻まれた三猿の姿。青面金剛の使いである猿たちは、他人の悪事や余計な雑音に惑わされず、自らのなすべき事に集中する大切さを教えてくれます。

令和5年5月16日。三十三間堂や清水寺での深い慈悲の余韻に包まれながら、初夏の西日が八坂の塔を美しく照らす東山の路地を歩み、八坂庚申堂へと至りました。
門をくぐると、目に飛び込んでくるのは、堂内を埋め尽くすように奉納された「くくり猿」の鮮烈な色彩。 赤、黄、青、緑——その瑞々しい初夏の京都の光に映える鮮やかさは、一見すると華やかでありながら、その本質は「自らの欲をコントロールし、志を高く保つ」という、極めて厳かで強固な精神性を秘めています。
人々の体内に潜む虫が天へ悪事を告げ口するのを防ぎ、災いを除くという青面金剛の御前に立ち、静かに手を合わせます。 次々と湧き上がる目の前の小さな欲望や雑音(ノイズ)に惑わされることなく、本当に成し遂げたい大いなるビジョンや事業のために、自らを律し、軸を警め固める。三猿たちの佇まいは、現代において複雑な選択を迫られるビジネスリーダーにとって、極めて本質的な知恵を語りかけてくるようです。
東山の古い風情と、己を律する強い決意が心地よく胸に響く、五月の美しい午後の記録です。
【アクセス】 八坂庚申堂(Googleマップ)



コメント